【Virtual Beingsインタビュー#02】合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」・マル知る!



昨年2018年から盛り上がりを感じるようになった「VR」
ですが、実際には「VRとはなにか」「なにが出来るのか」「今なにに活用されているのか」いまいち掴めないという方も多いはずです。

あくまでVRは技術。

現在は、機材や開発環境が整い、VRという技術を利用しやすくなってきた、それにより多くの人と様々な分野での活用の模索が活発化してきた、というのがより適切といえそうです。


様々なVRの活用、その模索。そのひとつに「アート・表現」があります。
技術の進歩とアートの発展は繋がっています。
新しい染料顔料の発見が絵画の表現を向上させました。
カメラ、ビデオといった機材の登場がなければ映像表現というものは存在すらしなかったはずです。


ゆえにVRという技術の登場は、新しいアートの分野の誕生とイコールです。
すでにVRを活用したアーティストは多く登場しています。その表現と発想はまさに千差万別。


そんな中、VRアーティストの中で「VR空間で個展を開催する」というアート制作から一歩踏み込んだ活動を行った方がいます。

その方が「ヨツミフレームさん(@y23586)」です。


2018年9月にVRChat上でメディアアート個展ワールド「1%の仮想」を発表し話題となりました。
そして2019年2月9日から、無期限開催・作品随時追加の合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」を開始。

この機会にヨツミフレームさんと、合同出展者の内のひとり「Karasuma-Kuroさん(@Karasu_ma_Kuro)」
そして会場制作協力者の「番匠カンナさん(@Banjo_Kanna)」にインタビューをさせていただくことができました。

今回は合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」について伺いました。



ヨツミフレームさん

twitter:@y23586
VRChat:y23586
ホームページ:y23586.net ←「Beyond Reality」への来場はこちらから
VRChatワールドリスト(β):制作ワールド一覧はこちら



Karasuma-Kuroさん

twitter:@Karasu_ma_Kuro
VRChat:Karasuma-Kuro
BOOTHショップ:「カラスの巣箱」



番匠カンナさん

twitter:@Banjo_Kanna
VRChat:banjokanna
VRChatワールドリスト(β):制作ワールド一覧はこちら
YouTubeチャンネル:「Banjo Kanna Channel」
BOOTHショップ:「Banjo Kanna Channel」




・VRChatへログインし「Beyond Reality」へ。読み込み後、ヨツミフレームさん達が待つエントランスへ進むこの瞬間はまさに「会場に行き」「実際に会う」という感覚です。当メディアだけでなくきっとVRを使ったインタビューは今後増加していくでしょう。


――メディアサイト「マル知る!」編集です。本日はよろしくお願いいたします。ヨツミフレームさんだけでなく、Karasumaさんと番匠さんもご参加いただき、ありがとうございます!


ヨツミフレームさんよろしくお願いします。

Karasuma-Kuroさんよろしくお願いします!

番匠カンナさんこんにちは、にぎやかしに来ました!



・「Beyond Reality」には「ALPHA」と「BETA」の2つの会場があります。こちらは「BETA」会場のエントランス。


■けん玉から始まったVR創作




――ヨツミフレームさんは、昨年9月に「1%の仮想」を開催されたことで広くVRアート作家として知られるようになられたわけなのですが、そもそもVRを知る前から、アート制作などをなさっていたのでしょうか。


ヨツミフレームさんいえ、アート制作などは行っておらず、VRに触れてからこういった活動を始めました。

――VRに触れられたのはいつ頃からなのでしょうか。


ヨツミフレームさん2017年ですね。たしかねこますさんの動画が登場して、VRChatが話題になるちょっと前だったはずです。

――2017年末より少し前、というとまだ日本ではVRChatはまだまだ知る人ぞ知るといった頃ですね。


ヨツミフレームさんこの頃はVRシステムVIVEを買って、ゲームなどで遊んでいました。まだなにかを作ったりはしていませんでした。

――VRChatもユーザーとして楽しんでいたんですね。では一番最初はどんなものを制作されたんですか。


ヨツミフレームさん一番最初に作ったのはたしか「けん玉」ですね。個展ワールド「1%の仮想」と、自作ワールド「Ennichi Playground」に設置してあるものです。


・最初の制作物、けん玉。VR空間内で実際に掴み、コントローラーを振ることでまさに現実のけん玉のように挙動します。
注意点は「掴んだアバターのサイズに応じてけん玉のサイズが変わる」「そのためアバターとプレイヤーの現実の身長に差があると挙動に影響がある」こと。
ヨツミフレームさんのけん玉が上手く出来なかった方は、リアルの自分と近い身長のアバターに切り替えてみてください。


――なぜ最初の制作物がけん玉だったのでしょうか。


ヨツミフレームさん触って楽しめるギミックがあるものを作ってみようと思って。ちょうど手元にあったけん玉をモデリングして作ってみました。

――3Dモデリングの知識はお持ちだったんですか。


ヨツミフレームさんそこまで知識はなかったんです。ちょっとしたものなら作れるかな、くらいの程度です。

――そうなんですか。実際に掴んで遊ぶことができるけん玉ギミック、すごいんですが、これが処女作なんですね。
では最初の制作物はけん玉。次に作られたものがやはりアバターでしょうか。


ヨツミフレームさん覚えていないんですけれど、アバターか「Ennichi Playground」のワールドのどちらかです。活動していく上で、なにかアバターが必要かなと思って簡単なやつを作って。同時に「Ennichi Playground」も作っていた感じです。


・VRChatワールドリスト(β)のページより引用の「Ennichi Playground」
夜の縁日をモチーフにした可愛らしく綺麗なワールド。けん玉のほかさらにいくつかの実際に触れて操作できるギミック付きオブジェクトが設置されています。
ヨツミフレームさんをはじめ、VRChatで制作を行う方には、当初は3Dモデリングの知識はそれほどなくVRChatを始めたのを契機にモデリングを始めた、という話を多く聞きます。
VRには自分がこれまで知らなかったスキルを求められるハードルがあったとしても飛び込みたくなる魅力があるようです。


――ここで一気に飛躍されたような。アバターを自作するのがまず大変なんですが、同時並行でワールド制作まで開始されたんですか。


ヨツミフレームさん最初に作ったアバターは簡単なもので、こっちなんです。




――今のアバターの髪飾りの部分、これが元々は頭部だったんですね。


ヨツミフレームさん耳が掴めて伸びたり、頭がとれたりします。当時はアバター芸などのために色々仕込んでいたので。

――「Ennichi Playground」のホログラムが! 体のデザインなどは今のものも踏襲されているんですね。



・このアバターの頭部が、現在のヨツミフレームさんのアバターの髪飾りになっています。ちなみに髪飾りのほうもよく見ると、たまに表情が変わります。生きている!?


ヨツミフレームさんこのアバターの頭だけ付け替えたのが今のアバターです。

――ギミック込みのアバターにワールド制作と、一気に駆け抜けて、そしてそこから次にどういった制作をしていこうと思ったのでしょうか。


ヨツミフレームさんけん玉を作って「Ennichi Playground」を作ったんですけれど、結局綺麗なものを作ってもほかに綺麗なものを作る人がたくさんいるので、もうちょっと違う方向でなにか作りたいなと思って。で、個展を開こうという。

――行動力がすごいですね。


ヨツミフレームさんでも結局モデリングしてデータをアップロードしているだけなんで、やっていることは一緒なんですが(笑)

――たしかにVR個展開催も、実作業面ではほかのワールド制作と変わらないんですね。
しかしVR個展開催を現実の個展開催と比べてみると大きく違いますね。開催コストやスペース確保は現実と比べて軽減されますから。


ヨツミフレームさんどんなに広くてもタダですからねえ。


・VRを知って即VRシステムVIVEを購入し、ほどなくアバター制作、ワールド制作まで着手していくヨツミフレームさんのスピード感たるや凄まじいものがあります。
筆者には自作ワールドを作った後に「で、個展を開こうという」というお話の、なにが「で、」なのか理解できない速度でした。

余談ですが、VIVEの購入は早かったヨツミフレームさんですが、VIVEトラッカーの購入は相当後になってからだったそうです。
理由は「アバターに足がなかったからトラッカー追加の意味がなかった」からとのこと。


■技術から発想が生まれて形になるアート制作

――そして2018年9月に「1%の仮想」が発表されました。会場にはかなりの数の様々な作品が展示されています。
あの作品達について「VR技術」と「作品の発想」どちらが先にあったのかお聞ききしたいんです。
こういう技術があるから、こういうことができそうだぞ、という技術から発想が生まれるのか。
あるいは、こういうことがしたい、ちょうどいい技術があるぞ、という発想が先にあるのか、といったように。


ヨツミフレームさん基本的に、技術的にできることから作品を作る、という流れですね。

――なるほど。まず技術ありきなんですね。


ヨツミフレームさんというのも、実はVRChatって作れるものに制限があるので。データ自体は色々アップロードできるんですが、プログラマーとしての方面から見ると、シェーダーという描画のためのプログラムと、パノラマという画像をネット上から持ってくること、そうことぐらいしか自由にできることがないんです。なので「1%の仮想」では一番使えるインタラクティブな技術から作品のネタを考えていました。

――そういう背景があったんですね。しかし技術的制限があるなかで工夫を凝らして表現していく、というのは現実のこれまでの様々な制作物とまったく同じですね。


ヨツミフレームさんWebPanelが使えればもっとインタラクティブなことが出来たんですが(笑)

※WebPanel:VRChatの開発キット内の、VRChat内にwebブラウザの内容を表示するコンポーネントというもの?だった。
ワールド内に動的なギミックを作るのに便利だったが、セキュリティ上の問題があるということで削除されてしまい現在は使えなくなってしまった機能。
あまりにVRChatワールド制作者に重宝されていたため、削除は大きな影響と衝撃があり、ユーザーの手により葬式が行われたほど。




・VRChatワールドリスト(β)から引用の「1%の仮想」
VRChatで利用できる技術から着想を得て作られた作品が並ぶヨツミフレームさんのVRアート個展ワールド。
この1%の仮想と、そこに並ぶ作品、それを生んだ技術と発想については次回の記事でご紹介いたします。


■個展から合同VRアート展の開催へ

――そして2019年2月から本公開となりました「Beyond Reality」は、個展開催ではなく合同VR作品展示ワールドなのですが、これはどういった意図や経緯があってのことなのでしょうか。


ヨツミフレームさんまず経緯としては、僕が無理やり声をかけたという感じで(笑)単純に僕が面白いものを見たかったんです。VRChat上で作品を作ろうと思うと、出来ることはアバターかワールドのアップロードです。そこでひとつの作品のためにワールドを1つアップロードというのは、かなりの労力です。
さらに制作者だけでなく、見る人にも負担になってしまうんです。10個の作品を見るために10個のワールドを巡ることになってしまいます。

――確かにそうですね。


ヨツミフレームさんなので、たくさんの人の作品を1つのワールドに集めれば、見る人は色々な作品が見られて楽しいですし、作る側も作品データを作って僕に投げてもらえればいい。そして僕も面白いものが見られるという。

――鑑賞側も制作側も便利な構造なんですね。そして、呼びかけ旗振りしている主催がいる、ということも大きいと私は思います。自分だけではワールドを作るまではちょっと・・・と躊躇されている方が作品発表できる場を提供することに助かる制作者も多いのではないでしょうか。


ヨツミフレームさんまだまだ作品が少ないので、そういった方に参加していただけると嬉しいです。

・VRアート作品を発表する際、本来であればその発表のために作品を設置するワールドも作らなければなりません。
しかし「Beyond Reality」ができたことによって、ワールド作成の労力が削減されます。
Karasuma-Kuroさんをはじめとした現在作品を出展されている方だけでなく、今後さらに多くの方の参画があることは間違いないでしょう。


■「ALPHA」と「BETA」同一構造の会場がふたつ存在する狙い

――さてそんな「Beyond Reality」なんですが、実は会場が「ALPHA」と「BETA」のふたつに分かれているんですよね。これにはどういった意図があるのでしょうか。


ヨツミフレームさんこれは会場設計のカンナさんにお願いします。



番匠カンナさん最初、展覧会のテーマを募集してまとめていったら3つになったんですよね。このテーマが3つのところからスタートしているんですね。

――それはこの会場入り口にある看板に書かれている「バーチャル」「意思・未来」ですね。



番匠カンナさんまずは私も作品を作って置きたいなと参加したんだけど、私は建築の人間なので、会場をどうしたら面白くなるかなと考えだしたらそちらのほうが楽しくなって。。

――最初は作品展示で参加されるつもりだったのに、会場設計協力をすることになったんですか。


番匠カンナさん3つテーマがあって、ひとつの会場で3つのテーマを並べるということもできたと思うんですが、運営的に一か所に全部集めるんじゃないほうが良さそうとなったんですよね。

ヨツミフレームさんそうです。一番最初の発想として、ひとつのワールドに全ての作品を展示すると作品同士が干渉するかもしれないという。

――複数人の作家がそれぞれ作ったものですから、そういったことが起こることもあり得るんですね、なるほど。


ヨツミフレームさんそして会場が複数あると、アップロードをする人が別々に平行して作業できるので効率が良いではないかと思って。

番匠カンナさんそうです、たしかそういう発案でした。

ヨツミフレームさんでも今のところはまだ作品数が少ないので僕が両方の会場のアップロード作業をやっているんですが(笑)

――干渉のリスク軽減と作業効率アップとVRらしい理由があったんですね。


番匠カンナさんなので、複数の会場を作るという前提がありました。それに対して別々の会場を作るのではなくて、同じものを用意する。VRなので、どこがエントランスに変わってもいいじゃないですか。同じワールド、同じ場所なのに体験が変わるとしたら面白いんじゃないかというアイデアです。

――形状がまったく同じ建物なのに、展示物が違う。同じ場所なのに体験するものが違う。そういうVRならでは狙いなんですね。





・ぜひ実際に二つの会場へ来場して、細部を見比べてください。


――現在、2つある会場への来場方法も独特です。ヨツミフレームさんのページ「y23586.net」にふたつの会場の各所を切り替えて映している監視カメラのようなエントリーページが設置されています。


ヨツミフレームさんこの来場方法には理由があって、まずは単純に時間がなかった(笑)そして最初から全部見せてしまうと、まだ作品数が少なめなので一度来場されてもうこれで全部かな、と思って作品が増えた時に再来場してもらえないと寂しいので。カメラで今の状況を常に発信しています。

――どんどん作品が増えていきますからね。なにせ開催期間がVRChatが終わるまで、ですから。


ヨツミフレームさん今、ポータルのワールドも作っていますのでそちらが公開されれば来場しやすくなるはずです。

番匠カンナさん今の感じも好きですけどね。片方の会場にしか行ってなくて、私行ったのにあの作品見てない?どこにあったの?みたいな謎を呼ぶ感じが。

ヨツミフレームさんあとは、実はあの監視カメラからワールドにはいるとインスタンスを自動で作るんですよ。10分ごとに新しいインスタンスを作って移動先に指定するので、同じ時間にクリックした人は同じインスタンスに来場するんですね。知らない人と出会う偶発的な要素が面白いかなと思っています。

Karasuma-Kuroさん私もそれで知らない方と同じ会場に入って、いっしょに会場を見て回りました。

――作品の前で私が作者です、みたいなことは?


Karasuma-Kuroさん無言の方だったので伝わったかはわかりませんでしたが、もしかしたら気づいてくれていたかもしれません。

――様々な意図で2つの会場が作られているんですね。会場はさらに更新されていくのでしょうか。


番匠カンナさんいえ、ひとまずはこれで。ALPHAとBETAが展示作品で埋まるまでは。その時はさらに会場を増やすと思います。

――展示スペースが足りなくなったら増やすんですね。


番匠カンナさん建築の世界には「ムンダネウム」というものがあって。これはル・コルビュジエという建築家の考えで、無限に拡張できる美術館、というものがあるんです。

――無限に拡張できるとは?


番匠カンナさん例えば、上野の国立西洋美術館がこのムンダネウムという考えで造られているんですけれど、建物がとぐろを巻いているピラミッドみたいな形状なんです。スタートが中央の最上階になって、ここから螺旋状に繋がっている展示室を回っていく構造です。そして展示室が追加で必要になったときは、このとぐろを伸ばすように増築していけば、無限に拡張できるよ、というものなんです。

――上野の美術館がそういったものだと全然知りませんでした。


番匠カンナさん対して、この展示会場はVRなんで物理的にとぐろを作ったりしなくても、同じ形状のままで増やしていける。するとまったく同じ会場のはずなのに、内装や展示作品が違う展覧会が同時並行に出来る。現実だったら開催期間を分けなければできないことがVRなら出来るよ、ということもテーマですね。

――現実世界で、無限に拡張していける美術館という構想がすでにあったことに驚くのですが、VRであればその構想をもっと簡単に実現できてしまうというのがさらに驚きですね。


・VR建築家の番匠カンナさんには、後日VR建築についてインタビューをさせていただきました。次回以降記事をご紹介いたしますのでお楽しみに。


■VRのなかにある現実感。ここはまさに展示会場。

――けれど、会場のデザイン自体はとても現実的というか、実際にありそうな展覧会場やミュージアムの雰囲気なんですよね。


番匠カンナさんそこは私は前回の「1%の仮想」を踏襲しただけなので。

ヨツミフレームさんこういった会場デザインなのは理由が2つあって、1つ目は会場が現実っぽいと、展示作品の非現実っぽがより際立つという理由です。
もうひとつの理由は、来場者が直感的に分かりやすいということです。VRでワールドを作ると幻想的なワールドを作れてしまいますが、例えばああいった経路案内のライトとかを現実的に作っておくんです。すると見た人がこっちが進むほうだなと分かります。VRですが現実的なものを敢えて作ることで、ワールドを見て回ることの脳の負担が少なくなるかなと思ってデザインしています。

――既存の現実のユーザーインターフェースを使ったほうが来場者に親切ということですね。



・ヨツミフレームさんのシルエットがデザインされた順路案内のライト。


ヨツミフレームさんそれこそ、このワールド自体は作品の本質ではないので。



・現実の美術館のように、展示作品の邪魔をしないすっきりとしたデザインの会場。
作品がまだ設置されていないスペースはいかにも作業中といった雰囲気に塗料缶が置かれています。
天井の照明や、角の監視カメラもいかにも現実的なデザインをしています。
現在のVRの多くは、VR空間での体験や仕掛、あるいはVR空間そのものの表現をコンテンツや作品とするものです。
対して、VR空間を「単に手段」として使うというアプローチはまだまだ少ないように思います。
VRが目新しいものでなくなり、空間や距離を超越できる便利で当たり前な手段として利用されるようになった時。その時がVRの次のステージなのでしょう。


■作者:Karasuma-Kuroさん 作品:暗がり

――会場にはすでに複数の参加者の方々の作品が展示されています。今回はまさに参加者のひとりKarasuma-Kuroさんがいらっしゃるので、Karasuma-Kuroさんの作品をご紹介させていただきたいと思います。


ヨツミフレームさんではKarasuma-Kuroさんの作品が展示してあるALPHA会場へ移動しましょう。





・ALPHA会場のエントランスから、順路案内に従って進むと、最初の展示室にはphi16さん(@phi16_)の2つの作品「非観測的観察」と「暗号という恐怖」が展示されています。この作品も現実では体験し得ないVRならではのアート作品です。ぜひ「来場」されてご自身で「見て」「触れて」みてください。

Karasuma-Kuroさんの作品はこの次の展示スペースに設置されています。


Karasuma-Kuroさん私が今回提出させていただいた作品がこちらです。

――作品名「暗がり」 可愛らしいボクセルで作られた部屋と、そのミニチュアが設置されています。



Karasuma-Kuroさんミニチュアは比較用に置いたもので、作品の本体はこの大きい部屋のほうになります。作品解説を見て体験してもらえれば嬉しいなと。

――大きい部屋に吊るされている蛍光灯。よくみると暗いんですよね。実は明かりが「消灯している」んですね。



Karasuma-Kuroさんそうです。蛍光灯のヒモを操作すると「点灯」できます。



――ヒモを引っ張ると、蛍光灯は点灯するのに、部屋は暗くなるという。


Karasuma-Kuroさんミニチュアのほうの蛍光灯も操作してみてください。



――ミニチュアのほうは蛍光灯が点灯すれば部屋が明るくなり、消えれば暗くなる。これが正常ですよね。


Karasuma-Kuroさんここに手持ちのライトも用意してあります。



――このライトも、暗い状態のミニチュアのほうを向けるとちゃんと照らされるのに、大きい部屋のほうは逆に照らしたところが暗くなるという真逆の不思議な現象が起きるんですね。この不思議な体験ができる作品「暗がり」はどんなところから着想を得たのでしょうか。


Karasuma-Kuroさん順を追って説明しますと、私はVRChatを始めてからシェーダーを触り始めたんですね。そうしてシェーダーを自作している最中に、もしかしてこれは光の減算ができるなと。シェーダーが光が当たっている強さを計算して出力しているので逆にしてやればできるんじゃないかと。

――シェーダー開発の副産物的なものだったんですね。


Karasuma-Kuroさんただそれを発表する機会が、思ったよりないんですね。アイデアの数が少ないとヨツミさんの「1%の仮想」のようなワールドを作るには足りなくて。そんななかで寝かしていたアイデアだったんですが、今回ヨツミさんが合同企画展をやると聞いて、じゃあ私もこのアイデアを持ちこんでみようかなと、そうして完成に至った感じですね。


・Karasuma-Kuroさんは作品のアイデアはあったものの、発表する場所がない状況でした。そこへ「Beyond Reality」の企画が始まり、展示参加することに。
今後も同じように多くの制作者がアイデアを形にし発表の場として「Beyond Reality」へ参加してくると思うと楽しみですね。
そして↑画像の左が3つ目のアバターに姿を変えたヨツミフレームさん。こちらは「ちうさん(@ChiuGameProject)」が制作されBOOTHショップ「CHIU SHOP」にて販売されている「イワシちゃん」というモデルを改変したアバター。トレードマークの狐耳はそのままに、こちらは足があります。


――アイデアもさることながら、見せ方も上手いですよね。比較用のミニチュアが横にあることで、普通ではないことが起きている面白みがよく分かりますよね。


Karasuma-Kuroさんこれに関しては、けっこうギリギリになってから、あれ?これ大きい部屋単品で置いても微妙につまらないのかなと思って。

――ミニチュアは後から最後の最後に追加されたんですか!


Karasuma-Kuroさん大きい部屋のデータをコピーしてサイズやシェーダーを調整したものなので大きな労力は掛けていませんが。

――完成目前でその時天啓走る、といった感じだったんですね。


Karasuma-Kuroさん比較があったほうが分かりやすいだろうと。ただ、すでに展示スペースの大きさが決まっていまして、これ追加で置いて大丈夫・・・?とカンナさんに。ちょっと、ちょっとずらせばきっと入るからって(笑)



・作品をより面白く見せられるアイデアが沸いたのは最後の最後とのこと。しかしすぐにそのアイデアを形に出来るのもVRアートならでは。
現実ではすでに完成してしまったものを修正したり、展示スペースの見直しを行うことは困難な場合も多いでしょう。


番匠カンナさんよく見ると、欄間から漏れて会場の壁に当たっている光は普通の光なんですね。




Karasuma-Kuroさん仕組みとしては、蛍光灯が暗い光を出しているんではないんです。蛍光灯は普通の光を出しています。

――蛍光灯や手持ちライトは、本当に普通の明かりなんですね。ということは?


Karasuma-Kuroさん部屋のほうが、明るい光を受けると暗くなるという処理をするようになっているんです。

――なるほど。


Karasuma-Kuroさんですので、たとえばこの部屋の中にカンナさんに入っていただいて、手持ちライトで照らすと・・・

――ライトに照らされるので番匠カンナさんは明るくなりますね。


Karasuma-Kuroさんそしてカンナさんに光が遮られるので、部屋の壁はカンナさんの影の部分が明るくなる。

――真逆のシルエットですね!現実にはあり得なくて面白い!



番匠カンナさんなんのためのライトかよく分からないのがいいですよね。暗くしてどうするみたいな(笑)

――まさにVRアートですね。解説ありがとうございました!


・こちらは「ALPHA」会場エントランスで撮影したサムネイル用集合写真のボツカット。番匠カンナさんだけ暗くなってしまったためボツに。

(より正確には、暗いところなのにKarasuma-Kuroさんとヨツミフレームさんが暗くなっていない、というべきかもしれません。VRの面白いところでもあります)




VRでの表現者のための発表の場として無限に拡張し続ける「Beyond Reality」

今後もたくさんの展示作品が増えていくはずです。ご興味をもった方は、ぜひ「y23586.net」から来場してみてください。

VRアートは実際に体験しなければその面白さが味わえず、そして何時でも何処からでも体験しにいくことができます。


今回、3名の方に個別のインタビューのご機会も頂けましたので、今後


・ヨツミフレームさんに、前回「1%の仮想」の振り返りとVRアートについて

・Karasuma-Kuroさんに、ボクセルモデラーとしての活動について

・番匠カンナさんに、VR建築家としての活動とVR建築について


のインタビュー記事を掲載予定です。



【Virtual Beingsインタビューシリーズ】

#01:月刊エモいワールド制作者 落雷さん(rakurai5)

#03:VR作品展主催者 ヨツミフレームさん(y23586)

#04:Voxelモデラー・Shaderクリエイター Karasuma-Kuroさん(Karasuma-Kuro)

#05:VR建築家 番匠カンナさん(banjokanna)

#06:VRイベントクリエイター カズユキ ハルノさん(カズユキ)

#07:VRライブ奏者 らくとあいすさん(RAKU_PHYS)




マル知る!では今後もVRに関わる方々のインタビューを行っていきたいと考えています。

・VRChat用のアバター、ワールドの創作活動を行っている方。
・VRChat上でイベントを企画開催している方、VRChat初心者への案内を行っている方。
・VRに関する技術、機材を扱われている、研究されている企業や団体。


マル知る!のインタビューをお受けしていただけるという方がいらっしゃいましたら

マル知る!Twitterアカウント:@marushiru_com へダイレクトメールにて

または

こちらのマル知る!お問合せフォームより

ご連絡いただけますようよろしくお願いいたします。

この記事を書いたライターは?

bukkey

マル知る!編集部員。現在はVR関連に興味津々。

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