【Virtual Beingsインタビュー#03】VR作品展主催者 ヨツミフレームさん(y23586)・マル知る!




前回の記事【Virtual Beingsインタビュー】合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」では「Beyond Reality」の主催者であるヨツミフレームさん(y23586)に、「Beyond Reality」の開催や、それまでにいたるヨツミフレームさんのVR制作活動の経緯についてご紹介いたしました。
今回は、「Beyond Reality」の前身となったVR作品個展「1%の仮想」についてのお話をご紹介いたします。



ヨツミフレームさん

twitter:@y23586

VRChat:y23586

ホームページ:y23586.net





・「Beyond Reality」のインタビュー後に「1%の仮想」ワールドへ移動。ワールド読み込み後、入ってすぐにヨツミフレームさんから「あ、懐かしい」との声が。
「Beyond Reality」の作業でお忙しかったからの感覚でしょうか。今のVR界隈の時の流れのスピード感はすさまじいものがあるようです。


――「Beyond Reality」の前に開催された「1%の仮想」は、まさに個展ということで完全にお1人で作品や会場を作られたのでしょうか。


ヨツミフレームさんそうですね。ほぼ自分で作りました。僕がやっていない部分というと、英語への翻訳です。有志の方にやっていただきました。


――なるほど。この解説に英語文も用意されているのが美術展らしい会場のリアリティを増していますよね。


ヨツミフレームさんパブリック化されて誰でも来られるようになっているので、やっぱりVRChatのユーザー層は英語圏の方が多いと思うのでせっかくですから英語翻訳を追加しようかなと思って。お願いをして。


・有志の方の協力で会場の英語解説は制作されているとのことです。距離も時間も超えて様々な国のユーザーが来場するということは、まさにVRの利点を感じさせます。



・エントランスのベンチの上には、最初の作品「けん玉」が置いてあるのでぜひチャレンジを。




・裏技的?な要素として、エントランスの作者紹介上部の壁時計は、実は掴んで持ち運ぶことができます。
これはVtuberの「おきゅたんbot」さんが「1%の仮想」の配信を行う際に、時間を忘れてしまわないようにタイムキーピングができるように時計が欲しい、と要望があったため、という誕生秘話があったそうです。


■面白さの分かりやすい触れられるものから


――この「1%の仮想」はどの作品から着手されたのでしょうか。


ヨツミフレームさん同時多発的ですね。最初に10個20個作品を作ろかなと思って、ネタ出しをしつつ平行作業で作りやすいものから作っていきました。



――そして作品が揃い、公開となった「1%の仮想」。順路に従って進んで作品を鑑賞する構造の会場となっています。
この作品の並び順も意図があって作られているのを感じます。まず最初の展示スペースでは、実際に触って動かせるものが集められているんですね。


ヨツミフレームさんまずはなにも考えずに楽しめるものを一番最初の部屋に置きました。


――誰でも直感と体験で面白いと思えるので、すごく間口が広く、まず堅苦しくなく楽しんでもらおうというのが伝わります。


・最初の展示コーナーの作品から1点「スタック・オーバー・苦労」
オブジェクトを掴んで積み上げる、というVR体験のシンプルでよくある体験ができます。
一味違うのは、オブジェクトが積み重なった状況によって、上部の文字表示が適切に切り替わること。これもシェーダー技術の使い方とのことです。



・バンズの間に具材を挟んでいくと「〇〇バーガー」と名称が更新されていきます。
最初の展示コーナーにはこのほかにも触れる楽しい作品が展示されているので、いきなりここで長時間過ごしがちになるほどです。

また〇重の塔は、ヨツミフレームさんが実際に積み上げているこちらのツイートをご覧ください。


つな鮪・つなかんさん(@m_Tun4kan)が描かれたファンアートを本人が再現したというもの。kawaii。


■情報を可視化するという作品



――続いて、ヴァーチャル・ヴィジュアライゼーションと題した展示コーナーです。


ヨツミフレームさんここはテクスチャに情報を記録して表示している、という作品が並んでいます。



・作品「二つ目の走馬灯」はヨツミフレームさんがこれまでVRChat内で撮影された写真データの色情報を揺蕩う波のように視覚化したもの。



・作品「VTuber Particle」はVTuberのYouTube上位512チャンネルが星のパーティクルになったもの。星のサイズが登録者数。色がチャンネルアイコンの色を反映しているとのこと。



・ちなみに最も大きい星はキズナアイさんの「A.I.Channel」 流石はVTuberのオヤブン!


――情報を可視化して作品する、という発想はどういったところからでてきたのでしょうか。


ヨツミフレームさんVRChatだと、GPUパーティクルと呼ばれる技術はすごく有名で、技術勢の登竜門的なものなんです。


――VRChatで創作を続けるうちに、ヨツミフレームさんもGPUパーティクルを扱ってみようというタイミングがあったんですね。


ヨツミフレームさんその時、ただGPUパーティクルを出すだけだと面白くない思って。パーティクルひとつひとつに意味があるような作品を作りたいと思ってこういう感じにしました。


――私でしたら、きっとまずパーティクルを出せたら満足してしまって、どうしたら面白いまで考えられるかどうか。
VR技術の体得の過程で同時に作品の発想も生まれているんですね。


■同じ場所で、同じものが「視えない」という体験


――次はインター-インタラクションと題された展示コーナーです。「観測者と観測者の『間』に存在する作品」となっています。これはどういう意味なのでしょうか。


ヨツミフレームさん簡単に言うと「同じ場所で同じ作品を見ているはずなのに、人によって見えているものが違う」という意図です。


――こちらの作品「距離のリアル」は、来場者ごとの接続しているプロバイダの位置情報を、その人を中心とした距離のグラフとして表示しているんですね。
見ている人が中心になるので、例えば私と、karasuma-kuroさんでは見えているグラフが違うんですね。隣にいるのに。


ヨツミフレームさん人によって見えているものが違うのが面白いのではないかと。



・記者は10Km圏内にも別のVRChatユーザーが居るようです。対してKarasuma-Kuroさんは1000km圏内が最寄の別ユーザーとのこと。


――この「距離のリアル」も、やはりまずは技術ありきで構想を思いついたんでしょうか。


ヨツミフレームさんまずVRChatの中にいる人の情報を取りたい、と思ったんです。すると使えるものがIPアドレスかパノラマ、APIくらいしか外部からアクセスする手段がないんです。
じゃあIPアドレスから出来ることといったら場所の推定かなと。これになりました。


――使える技術がこれしかない、と思うのではなくて、使える技術をどう面白く見せるか。その発想で作品になるんですね。



・こちらは「現在のVRChatのログイン数を表示する」ということから作られている作品「現実世界終末時計」



・言ってしまえば、VRChatのログイン数がわかるだけ。それを「現実の世界人口とイコールになった時、現実世界が終わる」という見せ方で面白い作品になっています。
ちなみにパロディ元の世界終末時計とは逆に、時計の針はまだほとんど進んでいません。


――こちらは空の台座と、空白の案内が置いてあるのですが、どう鑑賞すればいいのでしょうか?


ヨツミフレームさんこれは、ここに凄く可愛いモデルが設置されている、という作品なんです、なんて僕は自分のフレンドに説明しました。
まず、カメラを出してもらって、フィルターのCodeをオンしてください。




――カメラファインダーでは案内が見えます!「これはあなたの作品です」VR環境の人がカメラを構えることでしか読むことができません、とあります。


ヨツミフレームさんはい、デスクトップ環境の人は見ることができないんです。なので、VR環境の人と食い違いが発生するのが面白いかなと。


――本当はVR環境の人にも見えていないんですが、そこでデスクトップ環境の人にこんな作品が見えているよ、と作り話しをすることで「あなたの作品」を作ってくださいということなんですね。


ヨツミフレームさんもっと言うと、これでデスクトップ環境の人ももっとVRに興味を持ってもらってVR環境を買って欲しいという(笑)


――この場に複数人の方が来て、交流することで生まれる作品ですね。


ヨツミフレームさんはい。人の数だけ作品が生まれる作品です。


・実際には台座上にはなにも設置されていない、ということが分かるのはVR環境の人だけ。そこでデスクトップ環境の人に見えている作品の説明をしてあげてね、という言わば大喜利状況を見えている差異で作り出すという発想。



・作品「玉虫色の視点」も複数人で鑑賞すると面白い仕掛けがほどこされています。三方向から見ると形が違うオブジェクトが展示されている作品ですが・・・



・玉虫色の本当の意味は、一人では気づくことができません。


■そして「1%の本質」


――そして最後の展示コーナーが、展示会と同じタイトル「1%の仮想」となっています。
このスペースの作品はごくわずかな構成要素だけ空想の産物であることから、現実に存在することができないもの、と題されています。




――個人的にこれが大好きです。どんな質問にも完璧に答えてくれる「ハイパースマートスピーカー」


ヨツミフレームさん現実っぽくて、でも絶対に現実ではあり得ないものを作ってみたいなと思って。この回路も僕が設計したんですけれども、チップがあれば実際に動作するものになっています。



・いかにもなプロダクトモデルの展示と、いかにも家電量販店に設置されていそうな販促ムービーが再生されているタブレットが、本当にいかにもな感じを醸し出しています。


――神託集積回路さえあれば本当に動くんですね。神託集積回路、この世に絶対に存在しないんですが(笑)


ヨツミフレームさんそうです(笑)


・回路としてはきちんと動作するよう設計されているとのこと。ただし核となるチップはこの世に存在しません。


――そして最後に展示されているのが「1%の本質」
展示会のタイトルと対を成すようなネーミング。その内容は作品に近づくと、VRシステムのバックグラウンド画面が表示されるというもの。
まるで今まで見てきたものがVRで造られた幻覚と言わんばかりの・・・


ヨツミフレームさん散々これまで作品を見せてきて最後にこれですからね(笑)



・作品名プレートに近づくと、視界はVRシステムのバックグラウンド画面とそっくりのものに切り替わります。記者はこの瞬間に凄まじい衝撃を受けました。


――確かにここに見えているものはVR。HMDの中に映されている映像と音楽にすぎません。
でもここまで作品を見て、触れて、その時感じた感想や体験、そしていっしょに回った隣の人、その存在はなんなの?と考えさせられます。


ヨツミフレームさん一緒にいると思えばそれが本質なんだ、ということでこの展示で締めています。


■「Beyond Reality」とは別の新作も制作進行中


――この「1%の仮想」を発表された際、大きな反響を呼びました。ご自身ではこんなに話題になると想像されていたのでしょうか。


ヨツミフレームさんいえ、こんなことになるなんてって感じです(笑)


――「1%の仮想」があったことで、次に企画された「Beyond Reality」に多くの人が参加されているのも間違いないですね。


ヨツミフレームさんありがたいことです。


――元々はアーティストというわけではなかったとのことですが、個展を1回開催したわけですから、これからは名実ともにアーティストを名乗れるわけですが。


ヨツミフレームさん(笑)自称メディアアーティストは名乗れると思います。名乗る気はあんまりないですが。


――今は「Beyond Reality」を主催されています。さらにその次、その先にやりたいことや行きたい場所、といったことはあるのでしょうか。


ヨツミフレームさん別にそこまで難しいことは考えていなくて、ただ面白いものが作れればいいなと思っています。


――VRの先端を追いかけている方はよくそうおっしゃられます。面白いことがあるから、面白い人が居て面白いコミュニティがあるから、と言って駆け抜けている感じです。


ヨツミフレームさん正直言って異常ですよね。VRChatって収益化する手段が少ないのに、みんな時間と費用をつぎ込んで色々なものを作っているので、すごい熱意だと思います。


――今は「Beyond Reality」の合同展示作品を募り、その追加作業をされているわけですが、ヨツミフレームさんご自身も新作を作っていらっしゃるのでしょうか。
VR上で活用できる技術から作品を構想されているということですから、次の作品になりそうで注目や研究されている技術はなにかありますか。


ヨツミフレームさん次回作はバリバリ作っているんですよ。ただちょっとまだ時間がかかりそうです。


――どういったものを制作中なのでしょうか。


ヨツミフレームさん今回のようなお高くとまったものではないです(笑)技術的にはシェーダーをガチガチに使うものです。次は「1%の仮想」とは違った方向のものを作ってみようかなと思っています。


――新作は合同展示の「Beyond Reality」に追加されるのでしょうか。


ヨツミフレームさんいえ、そちらではなくまったく別です。


――また別に発表されるのですね。この情報については、ヨツミフレームさんのTwitterアカウントをチェックしていればよいでしょうか。


ヨツミフレームさん公開直前にお知らせすると思います。


――楽しみに情報公開をお待ちします。インタビュー、ありがとうございました!


ヨツミフレームさんありがとうございました!




VR上で使える技術を面白く体感できる、複数人で鑑賞するとさらに面白い、といった素敵な要素で出来たVR作品個展ワールド「1%の仮想」
VRChatユーザーの方でまだ来場されていない方はもちろん、これからVRChatを始める方に特に来場をお勧めしたいワールドです。
VRという仮想の中にある、体験という本質。未来な現在をきっと感じることができるはずです。



【Virtual Beingsインタビューシリーズ】

#01:月刊エモいワールド制作者 落雷さん(rakurai5)

#02:合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」

#04:Voxelモデラー・Shaderクリエイター Karasuma-Kuroさん(Karasuma-Kuro)

#05:VR建築家 番匠カンナさん(banjokanna)




マル知る!では今後もVRに関わる方々のインタビューを行っていきたいと考えています。

・VRChat用のアバター、ワールドの創作活動を行っている方。
・VRChat上でイベントを企画開催している方、VRChat初心者への案内を行っている方。
・VRに関する技術、機材を扱われている、研究されている企業や団体。


マル知る!のインタビューをお受けしていただけるという方がいらっしゃいましたら

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この記事を書いたライターは?

bukkey

マル知る!編集部員。現在はVR関連に興味津々。

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