【Virtual Beingsインタビュー#04】Voxelモデラー・Shaderクリエイター Karasuma-Kuroさん(Karasuma-Kuro)・マル知る!



VR方面で活動されている方をご紹介するシリーズのこちらの記事

【Virtual Beingsインタビュー】合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」

にて合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」を紹介いたしました。


記事内で、作品「暗がり」を出展されているKarasuma-Kuroさんをご紹介いたしました。
今回はKarasuma-KuroさんにVRChatでの創作の経緯や、ボクセル制作、シェーダー制作の面白さについてインタビューさせていただきました。



Karasuma-Kuroさん

twitter:@Karasu_ma_Kuro

VRChat:Karasuma-Kuro

BOOTHショップ:「カラスの巣箱」




■ボクセル(voxel)とは

――Karasuma-Kuroさんに、今回出展された「暗がり」以外の作品についてもお話を伺わせていただければと思います。よろしくお願いいたします。


Karasuma-Kuroさんよろしくお願いいたします。


――Karasuma-Kuroさんは、ご自身のアバターや作品は、ほぼこのボクセルモデリングという手法で作られているんですね。


Karasuma-Kuroさんそうですね。私は基本的にボクセルで制作しています。
ボクセルというデータの形式を使って作ったものから、こういったVRChatで使いやすいモデル形式に変換しています。
私はこの制作の流れをボクセルモデリングと呼んでいます。

ボクセル(英: voxel)とは、体積の要素であり、3次元空間での正規格子単位の値を表す。
「ボクセル」という用語は「体積 (volume)」と「ピクセル (pixel)」を組み合わせたかばん語である。これは、2次元画像データがピクセルで表されることのアナロジーである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2Dのグラフィックを形作るピクセルの3D版といった捉え方をされることが多いようです。
ボクセル=立方体を並べてモデルを作る、作られたもの、というニュアンスで用いられることも見受けられます。
有名なものでは「マインクラフト」がボクセルで表現されています。
余談ですが、記者は以前は「ピクセルの立方体(BOX)版だからboxel」だと勘違いしていました。

■アバターを自作しないとVRChatが始められない?
――このボクセルモデリングで制作活動しているVRChatを始められたのはいつ頃からでしょうか。

Karasuma-KuroさんVRChatを始めたのは2018年の3月後半頃に始めました。


――日本でVRChatが本格的に注目されてきたタイミングですね。VRChatを始める時に、さっそくVRシステムは購入されましたか。


Karasuma-Kuroさんいえ、VR環境は最初は揃えずに、2018年10月頃にWindows MRを購入しました。
部屋の関係でVIVEだとベースステーションが設置できなかったのでこちらにしました。


――最初の頃はデスクトップモードで遊ばれて、機をみてご自身にとって便利なシステムを選ばれたんですね。


Karasuma-Kuroさんデスクトップモードのほうが作業がしやすいというのも大きいです。今もこういったVR上のイベント的なものがないとデスクトップモードでログインします。


――いかにも制作者らしいですね。VRChatを始める前から、3Dモデリングはなさっていたのでしょうか。


Karasuma-Kuroさんまったくやっていないというと嘘になるんですが、趣味でちょこっとやったことがある程度で、しっかりとした形になるものは作ったことがありませんでした。


――ではVRChatを始めるにあたり、モデリングを本腰を入れてやろうという時にボクセルに興味を持たれたという感じでしょうか。


Karasuma-Kuroさんそこは・・・よくある勘違いで・・・


――?

・ここでなぜか言いよどむKarasuma-Kuroさん


Karasuma-KuroさんVRChatにアバターが準備されていると思っていなかったんですね。VRChatについて発信している人たちの情報から「自作モデルを持ち込んで遊べる」と知って面白そうだと興味を持って。じゃあ「モデルを作らないと」ってなっちゃったんですよ。


――デフォルトのアバターがあると思っていなかった!ということはVRChatにログインする前に、モデリングを始めたんですか。


Karasuma-Kuroさんはい。アバターの作り方解説を見ながら、途中まで出来たあたりで「あれ・・・これはどうやら作らなくてもいけるんだな・・・」と気づいて(笑)。


――アバターを自作しないとVRChatは遊べないと思い込んでいた(笑)


Karasuma-KuroさんこれはVRChatを2018年の中頃までに始めた方には多かった勘違いです(笑)


・このエピソードには同席していたヨツミフレームさんも含めて一同爆笑


■絵心よりもモデリングやドローイングソフトが得意→ボクセル適性

――普通の3Dモデリングは少し触っていたとのことですが、改めてここでボクセルモデリングを始めたのはなぜなのでしょうか。


Karasuma-KuroさんVRChat用のアバターを作る方法として、ボクセルでモデリングできるソフトを使ったやり方が紹介されていたんですよ。「MagicaVoxel」というソフトです。比較的覚えることが少なくてすむ方法として紹介されています。


――確かに検索すると、とても丁寧なMagicaVoxelを使ったモデリングとVRChatへのアップロードまでを解説した情報が見つかります。こういった情報公開されている先人の方はすごいですね。


Karasuma-Kuroさんはい。そして解説に倣って、MagicaVoxelでモデルを作って、Blenderに持っていって、そろそろVRChatもインストールしないとな~、というところで自作モデルがなくてもいいんではと気づいて、といった感じでした。


――Karasuma-KuroさんのVRChat歴=ボクセルモデリング歴なんですね。そして最初の作品、自作アバターをボクセルで作った時に、ボクセルの魅力にとりつかれた、ということでしょうか。


Karasuma-Kuroさんとりつかれた、いうのも間違いではないですね。自分がなにかを表現するときに、ボクセルという手法での表現があっているもののひとつだなと思って、これを中心にそのまま制作活動を続けることになっています。


――ボクセルという手法でモデリングを始められたわけですが、それ以前にはほかの創作系の知識、例えば絵心などはお持ちだったんでしょうか。


Karasuma-Kuroさん絵はまったく描かないです。手書きの線で絵を書くのが苦手で。人物デッサンや風景を描くのはだめで、静物をデッサンするのが辛うじて出来るんですけれどそれ以上のことは。どちらかというと直線と円で構成されているような幾何学模様を扱うほうが得意でした。


――それは、美術でいうキュビズムっぽいですし、もうボクセル以外のなにものでもないなみたいなお話ですね。


Karasuma-Kuroさん3Dモデリングソフトや、ドローソフトのAdobe Illustrator、設計のCADソフトは自分は相性がいいです。


・ベジェ曲線は良いものだ、というお話に同意する記者とボクセルアバターに着替えたヨツミフレームさん。


Karasuma-KuroさんPC関連が好きになったのは中学生くらいからなんですけれど、高校大学あたりでサークルでプログラムをやってみたり、お遊びで3Dソフトをいじってその時は挫折したりしていました。


――VRChatで創作をするための土台になるものがあったんですね。


Karasuma-Kuroさんプロではないですけれど、そういう方面の知識などが全くなかった訳ではない、それが土台になって楽しむことが出来るようになったというのは多少あると思いますね。


■可愛い大きな手と、覚えてもらいやすいカラーリングが原点

――今回使われているアバターなんですが、大きいグローブの手と作業服のようなイメージでしょうか。どういったコンセプトなのでしょうか。


Karasuma-Kuroさんはい、作業服のイメージです。このアバターになるまでなんですけれど・・・まず最初に作ったアバターがこれです。


・細かい調整は後から入ってはいますが、これがKarasuma-Kuroさんの最初の作品とのことです。一作目ですでに作風が確立されています。


Karasuma-Kuroさん後から調整を入れているので最初に作ったものとは微妙に違うのですが、形やデザインは変わっていません。


――すでに今のアバターと同じ作風を感じますね。


Karasuma-Kuroさんなにも知らずアバターが必要だと思って作っている時に(笑)なんとなくデザインをしていたら、でっかい手がいいなと思って。


――ちゃんと指が一本一本あるのも可愛いですよね。


Karasuma-Kuroさんでは手の色はどうしよう。グローブっぽいから赤系統がそれっぽいかなと。その後に髪の色はなにがいいかなとなって。ショートカットの女の子なんですね。


――アホ毛がちょっと生えているんですね。


Karasuma-Kuroさんここはありきたりに金髪を置いてみよう、となって。すると赤と黄色がでたら、ボディを緑にしたら、覚えてもらいやすいカラーリングじゃないかなと。そういう計算でこのカラーリングになりました。


――ほかのユーザーに覚えてもらいやすいというのは大事ですね。


・たくさんのユーザーが居る中で、覚えやすい明確な特徴があるのは自分にもフレンドにもありがたい配慮ですね。


Karasuma-Kuroさん赤と緑で目立つので覚えてもらいやすいという打算でこれになり、しばらくこのアバターを使っていました。その後、そろそろフレンドも増えてきたし、新しいものを作ろうとデザインを変えたものを作りました。


・色使いは変わったものの、赤くて大きな手は変わらず印象的。


――作業服風のデザインになり、そしてよく見ると解像度というか、ボクセル数は増えているんですね。


Karasuma-Kuroさんはい、少し増えています。このシリーズのアバターはここ最近はあまり使っていなかったのですが、お話させていただくにあたって、どのアバターがいいのかなと思った時に初心に戻ったようなアバターが良いかなと。


――制作者の原点が見えて、とても嬉しいです。ありがとうございます。


■昔取った杵柄のC言語からシェーダー自作の道へ

――そうしてアバターを作りながら、どんな活動をされていたのでしょうか。


Karasuma-Kuroさん週に2体くらいのペースでアバターを作ったり、2018年の4月の中頃にはシェーダーにも手を出していました。


――週2体のアバター制作もすごいですが、モデリングを初めて1ヵ月ほどでシェーダーを自作されたんですか。


Karasuma-Kuroさんアバターを作っているうちに、モデルの見え方にシェーダーというものがあるぞと分かるようになって。そこで色々なシェーダーを試していたんです。


――シェーダーはストアで販売されているものや、配布されているものが色々ありますからね。


Karasuma-Kuroさんそうしたら、シェーダーで不具合が出たんですね。で、ここから他人に言うと理解されないんですけれど、じゃあ自分で作ろうと。


――即自作(笑)


Karasuma-Kuroさん一度シェーダーのファイルを見てみたんです。そうしたら昔趣味で少し触っていたC言語に似た記述が中心だったんですよ。これ、ワンチャン分かるよな、書けるんじゃないかとなりまして。


――昔の経験がここで活きてきたんですね。


Karasuma-Kuroさん2018年4月の時には、まだ私の周りには技術関連に詳しい人が少なくて、周りの人にシェーダー分かる人知らない?と聞いて回りましたね。


・シェーダーを触り始めた話は、同じくシェーダーを自作されるヨツミフレームさんと頷きあいながら。シェーダー勢の間に通じるエモ。


――情報を得るために。そしてVR制作者としての交流も広がっていくんですね。ご自身の知識が活きたというのもあると思うのですが、そのままシェーダーに凝るようになった理由はあるのでしょうか。


Karasuma-Kuroさん先ほどお話したように、私は絵が描けないんです。なのでテクスチャを描くことができないんです。


――なるほど、テクスチャは陰影をつけたものを描くには絵心が必要ですね。UV展開もすごく大変ですし。


Karasuma-Kuroさんでも、VR内にはライティングがあって、シェーダーで影を計算する。ならシェーダーで陰影を付けていけばいいじゃないか、ということでシェーダーにハマっていきました。




・Karasuma-Kuroさん製シェーダーが設定されているアバター。手のひらの角度を変えると、明るさが変わっています。


――そしてVR合同展示会「Beyond Reality」への出展作品「暗がり」にも繋がっていくんですね。


Karasuma-Kuroさんそうですね、シェーダーをいじっている最中に光と影が逆になるシェーダーを試したのがきっかけです。こういったネタはTwitter等で誰かが「こういうものがあればいいな」と言っているなかで自分が出来そうなものを試してみることがあります。残念ながら公開できる形になることは少ないのですが。


――今回は「Beyond Reality」が公開の場としてちょうどあったという形ですね。


・合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」に出展された「暗がり」についてはこちらの記事をご覧ください。


■バーチャルマーケットがBOOTH開店の契機になった

――これまでアバターは何体ほど制作されたのでしょうか。


Karasuma-Kuroさん数で言うと試作やテスト用で重複するものがあるので・・・それらを除くと15~20体くらいでしょうか。


――かなりの数を制作されていますね。さらに自分がVRChatで使う用だけでなく、pixivのショップ作成サービス「BOOTH」での創作物販売もなさっていますね。こちらはいつ頃くらいからショップを開店したのでしょうか。


Karasuma-Kuroさん2018年の8月にVR展示即売会「バーチャルマーケット」の第1回が開催されて、それにあわせて販売を開始しました。販売自体はもう少し前からやりたいなと思っていたんですけれど、機会がないと動けなくて。そこに、あ、これはいい機会だ!と。


――乗るしかないこのビッグウェーブですね。



・こちらが第1回バーチャルマーケットに出展されたKarasuma-Kuroさんのブース。
第1回バーチャルマーケットのワールドはパブリック化されているので、実際に見に行くことが今でも可能です。



・こちらがKarasuma-KuroさんのBOOTHショップ「カラスの巣箱」


Karasuma-Kuroさん実際に販売しようとすると、ハードルがいくつかあって。例えば、購入した人が使いやすい形にしておかなければならない、とか。価格をどうするか。そしてどういう風に使ってよいかという使用規約を決めないといけないんですね。


――こういったことが整っていないと、購入した人も困ってしまうんですね。


Karasuma-KuroさんBOOTHの登録自体は簡単なんです。でも、こういうハードルが自発的にやるには面倒に感じていたんです。そこへバーチャルマーケットという企画が出てきまして、これを逃したらこういう販売活動はできなくなるぞと思って、バーチャルマーケットへ出展するのを原動力に当日までBOOTHショップを調整していましたね。


――やはりバーチャルマーケットがVRに関わる人達に大きな影響があったんですね。そして2019年3月8日からバーチャルマーケット2が開催されます。こちらにも出店されるんですね。


Karasuma-Kuroさんはい、バーチャルマーケット2にも出展します。


・2019年3月8日~10日に開催のバーチャルマーケット2。Karasuma-Kuroさんは随時Twitterでご自身の情報を発信しています。また固定ツイートされた活動ポートフォリオもあります。
Karasuma-Kuroさんのブースは「バーチャルミュージアムA」という会場に設置されますのでぜひ来場してみてください。


■新しい技術に興味を持つ人達との交流がVRの魅力

――2018年3月にVRChatと同時にボクセルモデリングを始めて、8月には第1回バーチャルマーケットに出展。ちょうど1年後の2019年3月にバーチャルマーケット2に出展。駆け抜けていますね。Karasuma-Kuroさんにとって、VRはどんな面白さを感じさせてくれるから、ここまで熱意を込めて活動されているんでしょうか。


Karasuma-Kuroさん私は人がクリエイターとしてどんどん育っていく様子を目当てにVRChatに来ているところがあります。
新しい技術に興味がある人が来ている場所だから、そういった人達と交流できれば新しいものが見られるんじゃないか、そう思っています。


・こちらはサムネイル画像の撮影に訪れたワールド。たましこさん(@tamsco274)が主催で開催されたボクセル作品オンリーのマーケット「箱市」のワールドです。
Karasuma-Kuroさんもこの箱市にブースを出展されています。




・こちらはバーチャル建築家 番匠カンナさん(@Banjo_Kanna)が審査委員長となって2018年に開催された「第0回『VR建築』コンテスト」のワールド。
このコンテストにもKarasuma-Kuroさんは作品を出展しています。
意欲的にVRChatで活動されている他の制作者の方と交流していくことにVRの魅力を感じているというKarasuma-Kuroさんは、次はどんな制作企画にJOINするのでしょうか。楽しみですね。


――なるほど、ボクセルという表現とシェーダーという手法で楽しんでいるクリエイターのKarasuma-Kuroさんらしいお言葉ですね。
まずは直近のバーチャルマーケット2のブースと出展品が楽しみです。本日はインタビュー、ありがとうございました!


Karasuma-Kuroさんありがとうございました!





【Virtual Beingsインタビューシリーズ】

#01:月刊エモいワールド制作者 落雷さん(rakurai5)

#02:合同VR作品展示ワールド「Beyond Reality」

#03:VR作品展主催者 ヨツミフレームさん(y23586)

#05:VR建築家 番匠カンナさん(banjokanna)

#06:VRイベントクリエイター カズユキ ハルノさん(カズユキ)

#07:VRライブ奏者 らくとあいすさん(RAKU_PHYS)




マル知る!では今後もVRに関わる方々のインタビューを行っていきたいと考えています。

・VRChat用のアバター、ワールドの創作活動を行っている方。
・VRChat上でイベントを企画開催している方、VRChat初心者への案内を行っている方。
・VRに関する技術、機材を扱われている、研究されている企業や団体。


マル知る!のインタビューをお受けしていただけるという方がいらっしゃいましたら

マル知る!Twitterアカウント:@marushiru_com へダイレクトメールにて

または

こちらのマル知る!お問合せフォームより

ご連絡いただけますようよろしくお願いいたします。



この記事を書いたライターは?

bukkey

マル知る!編集部員。現在はVR関連に興味津々。

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