リアルとVRを接続する音楽イベント「アルテマ音楽祭1.5」2019/05/03秋葉原エンタス



2019年5月3日、秋葉原オノデン本館5Fイベントスペース「エンタス」にて音楽イベント「アルテマ音楽祭1.5」が開催されました。

エンタスのリアル会場とVR内のパフォーマンス会場を接続し、デジタルとフィジカルの境界を越えたアート空間を創造する、というテーマで開催されたこのイベントの模様を紹介いたします。


■来場者をリアル&VR、二人の「DJ SHARPNEL」が爆音で迎える

アルテマ音楽祭1.5当日。会場のオノデン5Fエンタスでは、18:30から来場者の受付を開始。

イベント開催の告知から10日ほどしかなかったという状況のなか、開場待ちの来場者が続々と集まり、40~50名ほどの列ができるほど。

ついに19時に会場。入場した来場者の耳に飛び込んでくるのはフロアを包む爆音。そして目に入ってくるのは正面ステージの半透明スクリーンに投影されたDJ SHARPNELさんのアバターがDJブースを操る姿。



今回のDJ SHARPNELさんパフォーマンスはアルテマ音楽祭1.5ならではの特別仕様。目を凝らせば、透明スクリーンのアバターの後ろ、ステージ上にOculusでモーショントラッキングしつつDJ機器を操るDJ SHARPNELさん本人が居るという趣向です。



観客にレスポンスを求めて盛り上げるDJパフォーマンスと、先端のVRが感じさせるVJ演出。そして回り続ける音楽で会場を一気に盛り上げます。

開場してから来場者へアナウンスや前説は一切ありません。しかし入場した瞬間に「リアルとVRを接続する」という趣向が理解できるというオープニング。来場者は一瞬の体感でアルテマ音楽祭という世界に移動させられました。

またリアル会場にVR会場の映像が送られているだけでなく、リアル会場の観客席側の音声も設置されたマイクでVR会場へ送られています。VR出演者も来場者のレスポンスや声援をリアルタイムで感じることが出来るまさにリアルとVRが接続された空間を作り出していました。



■リアルとVRを橋渡しする進行役2.5次元アイドル「桃知みなみ」

DJ SHARPNELさんのパフォーマンスが終了したところで司会進行の桃知みなみさんが登場。

『世界初アニメちっくアイドルアニソンDJリアルVtuber』の肩書を名乗る桃知みなみさんは、もうすぐデビュー10周年を迎えるという知る人ぞ知るサブカルアイドル。

このスタイルを約10年前から始め、2018年にはVRアバターも制作しVR上での活躍も開始。時代のほうが遂に彼女に追いついたという存在。

リアルとVRを接続するアルテマ音楽祭1.5の司会としてこれ以上ない人選と言えます。



桃知みなみさんから会場諸注意の案内の後、歌唱パフォーマンス「アルテマ音楽祭でつながって」を披露。

この曲は桃知みなみさんが2019年1月にVR上で開催された第1回アルテマ音楽祭にて歌った「阿佐ヶ谷通りでつかまえて」のアレンジバージョン。

つまりVR上のパフォーマンスをリアルに輸入する形です。リアルとVRの二つの世界、そのどちらにも存在する桃知みなみさんにしかできない表現です。


こちらがVR上で開催された第1回アルテマ音楽祭での桃知みなみさんのもう一つの姿。リアルとVRの両方に存在し活動しているアイドルは2019年現在唯一の存在です。


■VRを応援するVTuber「おきゅたんbot」VRをリアルに展開する2ステージを披露

桃知みなみさんの呼びかけから「おきゅたん、bot、だよ」のお約束の挨拶でおきゅたんbotさんがスクリーン上に登場。

VR大好き・VR推しTuberのおきゅたんbotさんは2017年の6月からVR応援活動を開始。さらに2018年2月からYouTubeチャンネル「おきゅたんbot / VRすきま動画」に数多くの動画投稿を開始しVRの楽しさを伝えるストリーマー。

その動画の内容もVRChat内で作られているので、まさにVR空間のYouTuberであり、所謂VTuberとは一線を画す活動を行っていると言えます。



2017年半ば、日本でVRが本格的に盛り上がる少し前という時期にVRを応援するという先見性があるおきゅたんbotさんですが、実はキャラクターには原作が存在し、そちらはさらに早い時期にVRに注目しているのです。

原作は、まいてぃ999 さんの漫画「VRすきまガールズ」なんとこちらは2014年4月から制作されているとのこと。VRの先駆者ですね。

リアルに居る2.5次元存在の桃知みなみさんとVRスクリーン上のおきゅたんbotさんがシームレスに会話する様はまさにアルテマ音楽祭の思想を体現していました。


トークに続いて2つのステージを披露。

1曲目「バーチャルワンダーランド」はリアル会場のある秋葉原の街並みをイメージしたステージ上で次々と衣装替えをする演出を展開。

2曲目「夜々ロケット」はMErryさん(@MErry4MErry2me)の楽曲提供により第1回アルテマ音楽祭で行われたステージの再演。




どちらのステージもおきゅたんbotさんが「ステージ上に居る」という実在感がありました。

おきゅたんbotさんを映すVR内カメラの画角をリアル会場のステージと一致させていること。さらにステージ後方スクリーンに背景を投影することでステージ上の空間を強調。これにより実在感を上手く出していました。

また、それを可能としたエンタスの最新型半透明ディラッドスクリーンの品質の高さも注目点です。


■水音と波紋が広がる新作VR楽器をライブ演奏「らくとあいす」

らくとあいすさんはシェーダーで高クオリティの水面を設置するVRワールド製作と、VR上で作られたVR楽器をライブ演奏するVR奏者という二つの顔を持つVRクリエイター。

今回は3曲のVR楽器演奏を披露。


1つ目は2018年12月に開催された第3回Vアートにて発表されたオルゴール。回転する輪にレコードの針を置くように球オブジェクトを置くことで音が発生。球オブジェクトを置く数や位置を変化させることでライブな音を作るというVR楽器です。



2つ目は2019年1月に開催された第1回アルテマ音楽祭にて発表された多段鍵盤。VR上オブジェクトは接触のフィードバックが無く突き抜けてしまうということを逆手に取り、演奏用マレットが突き抜けることを前提に立体的に鍵盤が設置されたVR楽器です。

曲は第1回アルテマ音楽祭のために会場と楽器と曲が一体で作られたもの。曲名は「ALTEMA」



3つ目が今回初披露の新作VR楽器。奏者のらくとあいすさんの前方に浮かぶ7つのリング状の鍵盤。それに手にした球オブジェクトで触れると、水面を叩いたような音と波紋が発生します。



らくとあいすさんは第1回アルテマ音楽祭の時に、第1回アルテマ音楽祭のための会場・楽器・曲を作ったとコメントしています。

そして今回も「エンタスを会場とした今回の演奏用」の新作VR楽器を制作したとのこと。


エンタス用とはなにか?それは「観客席前面に設置されたスクリーン」「VR上カメラが正面からの固定カメラ」ということを踏まえた設計・演出のVR楽器であることのようです。

鍵盤は垂直に設置されているのは、鍵盤を叩いて発生した波紋が広がっていく様がスクリーン上に見やすく展開されるようにするためです。

また、半透明スクリーンはステージ側から観客席側に向かって裏面からプロジェクター投影されています。よって映し出された波紋は、観客席の床面にも投影されることになります。


現実の楽器では困難な「会場演出と一体化する専用の楽器を制作する」というVR楽器ならではの可能性を感じさせてくれました。


■研鑽されたパーティクル技術を放った「MARO」

アルテマ音楽祭1.5のトリを務めるのはMAROさん。

VRChat上で「パリピ砲」と題してパーティクル芸を行い有名だったMAROさん。そのパリピ砲は制作を重ねるうちに次第に大型化し、遂にはワールド全体に及ぶような大規模な演出にまで進化。そしてアルテマ音楽祭運営に加入し、前述のおきゅたんbotさんの夜々ロケットのステージ演出などを担当されるなど、コアメンバーの一人として活躍されています。

今回は「清楚砲」と命名された作品を披露。楽曲に合わせてパーティクル演出が展開されていきます。

ステージ後方スクリーンに清楚砲が投影され、ステージ前面半透明スクリーンには清楚砲を見るおきゅたんbotさんの後ろ姿が映され、ステージ上に空間を生みます。そしてエンタスライブ会場のミラーボールが回り、現実と清楚砲の世界をさらに溶け合わせます。




MAROさんの制作はVRライブ空間の演出から、さらにリアル空間の演出との連携へと更なる進化を見せました。6月に開催される第2回アルテマ音楽祭でもMAROさんの演出に要注目です。


■アクシデントすらも新しいものが生まれるライブの息遣い

以上の演目、実はすんなりと滞りなく実施された訳ではありませんでした。

VRChatの不安定な状況やリアル会場機材の不調など、途中で幾度か進行が止まることもありました。


その度に司会の桃知みなみさんとおきゅたんbotさんがトークで場を繋ぎます。

舞台袖にちらりと垣間見えるのは、VR側スタッフと確認連絡を取り続ける主催のカズユキさん、リアル会場音響機材の調整を行うよしたかさん。

プロジェクター画面には時折、VR会場の再調整に奔走するオノッチさん、元怒さんの様子も映り込みます。



そんな状況に対して、来場者達の反応は「見守る」

アルテマ音楽祭スタッフが、これまでなかった新しいものを作ろうと挑戦し奮闘している。来場者もその瞬間に立ち合い、自分たちも共有し、一緒に作っている。運営スタッフだけでなく来場者も一体になって新しいものを生み出そうとしている。

そんな会場に居た筆者は、アクシデントすらライブの一部であるかのように感じていました。


■「第2回アルテマ音楽祭」6月13日(木) 6月14日(金)に開催決定

ステージ終了後は代表カズユキさんを始め、運営スタッフ・出演者がそれぞれ来場者へお礼のコメントを述べました。
その後スクリーン上にVR側のスタッフ、出演者も並び記念撮影を実施。そんな中で、カズユキさんより次回の第2回アルテマ音楽祭についての情報が伝えられました。

もうすぐ閉会というタイミングでするっと凄まじい新情報を口にするカズユキさん。

第2回アルテマ音楽祭は6月13日(木) 6月14日(金)の二日間に渡っての開催と発表されました。
二日間開催となったのは第1回と比較して出演者が増えたためとのこと。

第2回は出演者オーディションが4月に行われ、10名の出演者が決まっています。
さらにシークレットゲストの出演も予定されており、出演者は合計で30名ほどになるという情報がカズユキさんから飛び出しました。


■アルテマ音楽祭の続報に注目

音楽イベントにVRを活用する発展性を示した第1回アルテマ音楽祭。

さらにリアルとVRを繋げる演出を切り開いたアルテマ音楽祭1.5。

続く第2回アルテマ音楽祭は音楽・イベント・VRをどう繋げて広がっていくのでしょうか。

そしてアルテマ音楽祭を通じて、観客として共鳴する人、出演者としてあるいは技術者として加わる人、新しい表現やイベント開催の形に同調する人、さらに多くの人と人が繋がって新しいものが生まれてくるのでしょうか。

アルテマ音楽祭の続報について公式ホームページ、公式Twitterアカウントに注目です。




〇アルテマ音楽祭公式ページ

〇アルテマ音楽祭公式twitter(@altema_musicfes

〇主催:カズユキ ハルノtwitter(@kazuyuki_haruno


アルテマ音楽祭1.5出演者・運営スタッフ

VR Side Perfomers

・MARO/VRChat(@virtual_maro

・らくとあいす(@rakuraku_vtube

・おきゅたんbot(@OculusTan

・オノッチ(@onotchi_

・元怒(@gend_VRchat


AKIHABARA Entas Side Performers

・DJ SHARPNEL(@sharpnelsound

・桃知みなみ(@momochi373


Produce and Engineering

春野カズユキ(@kazuyuki_haruno

よしたか(@TyounanMOTI

じぇしか(@jscmla1118





第一回アルテマ音楽祭ダイジェスト版

YouTubeチャンネル:おきゅたんbot / VRすきま動画

【アルテマ音楽祭】音の凝縮版 - Altema Music Festival 60min



アルテマ音楽祭主催 カズユキ ハルノさんインタビュー記事

【Virtual Beingsインタビュー#06】VRイベントクリエイター カズユキ ハルノさん(カズユキ)




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bukkey

マル知る!編集部員。現在はVR関連に興味津々。

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